防災グッズ(懐中電灯・ラジオ・モバイルバッテリーなど)の説明欄に「IP65」や「IPX4」などと書かれているのを見たことはありませんか?
これは、製品がどれくらい 埃 や 水に強いのかを表す世界共通の国際規格で「IPコード」と呼ばれるものです。
一般的には馴染みがないかもしれませんが、仕組みは簡単ですので、この機会に「IPコード」を覚えて帰ってください。やさしく解説します。
IPコードは、防塵・防水性能を表す国際規格

IPコードとは?
IP(International Protection)は、2003年に国際電気標準会議(IEC)によって定められた 製品の防塵・防水性能を表す国際規格です。
電気製品の防水・防塵性能を「IP◯◯」といった形式で規格で表記します。

上の画像の通り、IPの後にある2つの数字で「防塵」と「防水」の等級を表現します。
- 1桁目の数字が「粉塵」に対する保護等級
- 2桁目の数字が「水」に対する保護等級
IPコードは、規格で定められた試験条件において、どれぐらいホコリや水から製品を保護できるかを示すものです。
IPコードの「数字」と「X」の意味

IPコードの数字は、等級は、防塵と防水で最大値が異なります。
防塵等級は、「0」〜「6」、
防水等級は、「0」〜「8」で表現します。
未対応は「0」、
試験をしていない場合や省略時は、「X」と表記します。
- 1桁目の粉塵等級は、「0」〜「6」
- 2桁目の防水等級は、「0」〜「8」
- 0 は、未対応です。
- X は、試験をしていないか、省略時に使用し、弱いという意味ではありません。
防塵性能(1桁目)の一覧表

IPコードの1桁目の防塵等級(0〜6)の意味をご紹介します。
| 等級 | 防塵性能の説明 | わかりやすいイメージ例 |
|---|---|---|
| 0 | 保護なし | 砂場で使うとそのまま砂が入る |
| 1 | 直径50mm以上が侵入しない | 手のひらサイズの石は入らない |
| 2 | 直径12mm以上が侵入しない | 太い指が入らないイメージ |
| 3 | 直径2.5mm以上が侵入しない | ボールペン先が入らない |
| 4 | 直径1mm以上が侵入しない | 針金や細い虫が入らない |
| 5 | 有害な量の粉塵は入らない | 砂埃の中で使っても壊れない |
| 6 | 完全に粉塵が侵入しない | 砂嵐でも内部に入らない |
防水性能(2桁目)の一覧表

IPコードの2桁目の防水等級(0〜8)の意味をご紹介します。
| 等級 | 防水性能の説明 | わかりやすいイメージ例 | 雨の強さの例 |
|---|---|---|---|
| 0 | 保護なし | 水がかかったらすぐ壊れる | 雨に耐えられない 雨が当たると故障リスクが高いレベル(雨天使用は不可) |
| 1 | 垂直に落ちる水滴に耐える | 軒下で水滴が落ちてくる程度 | ごく弱い雨 軒下でポツポツ落ちる雨/霧雨レベル |
| 2 | 15°以内の水滴に耐える | 傘を少し傾けたときの水滴 | 弱い雨+少し斜めの雨 傘を少し傾けた程度で当たる雨/小雨レベル |
| 3 | 60°以内の降雨に耐える | 斜めからの雨(横殴りの雨) | やや強い雨(風で斜めに降る雨) 風で吹き付ける雨/横殴り寄りの雨(中雨) |
| 4 | 全方向の飛沫に耐える | 自転車の走行中に受ける水しぶき | 普通の雨〜やや強い雨 雨の中を歩く・自転車で走ると全方向から濡れる状況(本降り) |
| 5 | 全方向の噴流に耐える | ホースの強めの水流 | 強い雨(短時間の豪雨クラス) 強い雨が連続して打ち付ける/ゲリラ豪雨の一歩手前 |
| 6 | 強い噴流に耐える | さらに強い水圧に当ててもOK | 非常に強い雨(豪雨・台風クラス) 横殴りの豪雨・台風の雨でも耐えられるイメージ |
| 7 | 一時的な水没に耐える | 誤ってバケツに落とす | 雨というよ「落水・水没事故への強さ」 雨の中で水たまりに落とす/一時的に水に沈む状況に耐える |
| 8 | 継続的な水没に耐える | 水中1m以上でもしばらく耐える | 雨というより「長時間の水没への強さ」 冠水・浸水環境で水中にしばらく置かれる状況に耐える |
防水試験は「真水」で行われるため、海水・泥水・温泉は対象外です。
よくある「IPコード」の誤解
防災グッズは、どのぐらいのIPを選択すると安心?
雨の中の避難を想定すると、次の3つが重要です。
- 雨(小雨 / 雨 / 豪雨)
- 水しぶき(跳ねる水)
- 落水事故(水たまりに落ちる)
| 防水等級 | 雨の強さの例 |
|---|---|
| 0 | 雨に耐えられない 雨が当たると故障リスクが高いレベル(雨天使用は不可) |
| 1 | ごく弱い雨 軒下でポツポツ落ちる雨/霧雨レベル |
| 2 | 弱い雨+少し斜めの雨 傘を少し傾けた程度で当たる雨/小雨レベル |
| 3 | やや強い雨(風で斜めに降る雨) 風で吹き付ける雨/横殴り寄りの雨(中雨) |
| 4 | 普通の雨〜やや強い雨 雨の中を歩く・自転車で走ると全方向から濡れる状況(本降り) |
| 5 | 強い雨(短時間の豪雨クラス) 強い雨が連続して打ち付ける/ゲリラ豪雨の一歩手前 |
| 6 | 非常に強い雨(豪雨・台風クラス) 横殴りの豪雨・台風の雨でも耐えられるイメージ |
| 7 | 雨というよ「落水・水没事故への強さ」 雨の中で水たまりに落とす/一時的に水に沈む状況に耐える |
| 8 | 雨というより「長時間の水没への強さ」 冠水・浸水環境で水中にしばらく置かれる状況に耐える |
避難行動を考えると、最低ラインはIPX4、理想はIPX6以上 です。
防災ラジオを強い雨の中で使用するケースは少ないと思いますが、防災ライト豪雨の中に避難する際に使用するケースは考えられます。
そのため、懐中電灯は「IPX6」 をおすすめします。
参考情報(信頼できる情報源)
本記事の内容は、以下の国際規格・公的機関・メーカー公式情報を参照し、初心者にも理解しやすいように再構成しています。
IEC(International Electrotechnical Commission)
IPコードを制定する国際標準化機関
https://www.iec.ch
JISC(日本産業標準調査会)
IEC 60529の国内情報
https://www.jisc.go.jp
Apple(アップル)
iPhone 7以降の防沫・耐水・防塵性能について
https://support.apple.com/ja-jp/HT207043
